僕があの子を好きになっても良いですか?
「ちっ…違うよ
そんな大きなものじゃないよ」
「え?」
「あの時…黒木さんが
僕より先に話しかけていたでしょ?
本当はあの日
僕は黒木さんよりも先におばあさんを見つけていた
だけど話しかける勇気がなかった
その場に立ちつくしているだけだった
通りすがりの人と一緒だった
ただ見ているだけだった
だけど黒木さんが
おばあさんに話しかけていたから
黒木さんのお蔭で
僕は話しかけることが出来たんだ
あの日おばあさんを助けられたのは
黒木さんのお蔭だよ」
ふんわりと笑う白羽くんに
あたしは泣き始めてしまった
「く…黒木さんっ!?」
「白羽くん…あの日はありがとう
スマホを家に忘れちゃったから
白羽くんがいなくちゃ
救急車を呼ぶことが出来なかった
本当にありがとう」
「今日は忘れちゃったけどね…僕」
あたしたちは同時に吹きだして
思い切り笑った