ユメセカイ
「お顔をお洗いいたしますので、痛むかもしれませんが額のガーゼをはずしますね」

額のガーゼ?そんなのつけてたの?そんなところに怪我なんてしてたっけ?


じわじわと角のあるライオンが思い出される


確かあの時、木にでこぶつけて気絶したんだっけか


あのときか…


傷を認知したらだんだんおでこが痛くなってきた


傷にしみながらおでこを洗い、次は体


くすぐったさに耐えながらも、ピカピカに洗い上げてもらった

ああー、恥ずかしかった

風呂からあがり、綺麗なブルーのグラデーションのドレスに着替えた

お風呂あがりに、ドレスだなんて。ドレスすら七五三でしか着たことがないのに

乙女の憧れのドレスを着れて、テンションが少し上がる

靴もドレスと同じブルーのヒール


まるでお姫様になった気分だ

写メを撮りたいが、もちろんスマホがない


「このような仕上がりでごさいます。ミモザ様は、大変お美しいのでブルーのドレスもよく似合いになっていますね」

ステラさんがお世辞を言って、姿見(鏡)を持ってきてくれた


んもう、そんなに誉めたって何も出ないわよ。と、心の中でおばさんのように返す


姿見は、縁が凝ったデザインで高級感溢れている。実際に高級なんだろう

鏡にうつる私は、綺麗なグラデーションのブルーのドレスを身に纏っているのだが


ここに来て1番驚いた




顔が、


私のものではなかった


鏡にうつる私は、あの平安美人ののっぺり顔ではなく


そう、あの教会でみたミモザの銅像のような、美しく整った顔。いや、ミモザそのものだった
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