夕焼けに照らされて
 座り直し、佳之子と再び向かい合ったひかるは、お弁当を食べようと、蓋にてをかけた。――そのとき、佳之子が考え事で上の空であることに気がつく。
 色とりどりの佳之子ののお弁当はとても美味しそうだ。狐色のこんがりと揚げられた唐揚げに、旬の野菜を使った炒め物と漬け物。そしてお弁当の隅にかわいく収まっている玉子焼き・・・。  

「すきありっ!! 佳之子の玉子焼きもらいー。」
「あーっ!人が考え事してるときに、狙ってくるなんてひどいよお。」

 おこる佳之子を横目にひかるは甘い玉子焼きを頬張る。

 さすが佳之子のお母さん。味の加減とこのふわふわ感、うまいですなあー。


 あまりにも幸せそうに自分の玉子焼きを食べるひかるを見て、佳之子は少し呆れたように笑うのであった。
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