恋愛シーソー
傷心
皆でテーマパークに行ってから一週間がたった。
大して変わらない毎日が続いている。
変わったことといえば…
「ゲームセット!!ウォンバイ葵ちゃん!!」
「かったぁ…」
一月前とあまり変わらない状況。
息を切らしながら握手を交わす相手は萩君。
雪辱が叶わなかったせいか、どこか不機嫌そうだ。
夏が近づいてきて、同時に大会に向けた準備が始まった。
初恋の甘い時間を過ごすヒマなんてなく、毎日授業が終われば男子と混じって夜まで練習に明け暮れていた。
大学の試合は、人数が足りなければ男子の変わりに女子が出てもさして問題がないという。そんな変わったルールのせいで、団体戦は男子と混じって出場する。
「すんげー…男子3人抜き。薫もヤバイんじゃないの?」
審判台の下で試合の成り行きを見守っていた太郎先輩(3年生)がぴゅ~と口笛を吹いた。
「うん。もしかしたらシングルス任せられるかもね」
嫌味を言われたにも関わらず、審判をしていた薫先輩はにこにこしている。
優勝という文字が現実的になってきて嬉しいのだろう。
「よし!休憩したら葵ちゃん、俺と組んでダブルスね」
「え゛」
思わず、飲んでいたスポーツ飲料を吐き出しかけた。
ダブルス??
自分と先輩が??
いやいやいやいやいやいや
相手ならまだいい。
けれどダブルスのペアとなったら話が別だ。
自分がミスれば、ようは先輩の足をめいっぱい引っ張ることになるわけで…
無理。
そういえたらどんなによかったことだろう。