恋愛シーソー


私はA型だ。
けど典型的なA型と違ってそんなに綺麗好きなわけじゃない。

そんな私から見ても、そこは汚かった。


「サークルの部室なんてどこもごみ溜めよ。」

そう言って空き缶やら食べかすやらをまたいで歩くあやめはたくましい…

部室には座れる用なソファがあったけれど、積もりに積もったほこりを見て断念した。

「今練習中みたい。あのやたら跳ねてるのが主将」

窓からあやめが外を指差した。
覗いてみれば部室からはテニスコートが見渡せるようになっていて、そこでは数人の男子が練習していた。


跳ねてる?

と最初は意味がわからなかったが、一人いた。
髪が多少長めで、キムタクみたいな髪型の男子。

…ギャル男か?

女子高出身の自分にとって一番苦手な人種だ。



そんなことを考えていたら、向こうがこちらに気付いた。

ジャニーズにでも入れそうなほどに可愛らしい顔がにかっと笑った。


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