恋愛シーソー


逃げ出すわけにもいかず、しぶしぶコートに出たら結構な人数が集まっていた。

「おっそい!」

あやめがいきなりボールを投げつけてきた。
慌ててラケットで受ける。

何故かあやめは満足そうに頷いた。


「よし。反射神経は鈍ってないみたいね。あんた、今からこいつと試合」


そう言うとあやめはぐいっと男の子を引っ張ってきた。

「同じ一年の萩(はぎ)。なかなか上手いから相手に不足はないでしょ」

あぁそんな事言って…


萩くんは綺麗な顔立ちの男の子で、あまりスポーツをしそうにないように見える。
色は白いし、メガネでもかけて読者してる方が似合いそうだ。


萩くんは、あやめの言葉に多少なりとも不服なようだ。
ぴくりと顔がひきつったのを、不幸にも目撃してしまった。


「じゃあ俺審判やるね!」

主将さんはるんるんで審判台へと駆けていく。



…帰りたい…



今日何度目かわからないけれどそう思った。

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