恋愛シーソー




…試合終了後。


「かったぁ…」

「…あそこでドロップはひどすぎませんか」

「相手の体力きらすのは兵法のひとつだもの」


二人ともへばってコート上に倒れ込んでいる。
もう汚いとかそんなこと言ってられない。
2年間サボっていた足が急にこきつかわれたもんだから悲鳴をあげている。


「強いねぇ、萩くん」

「今はイヤミにしか聞こえませんよ」

「でも強いよ」

「…次は勝ちます」



そう言うと萩くんは立ち上がって手を差し出してきた。

「へ?」

「立たないんですか?」

そう言われて、手を取れということだと気付いた。

慌ててごしごしと手を拭いて(ラケットを握って汗だくだ)恐る恐るその手をとった。

女の子みたいな細くて綺麗な手だったけれど、引っ張りあげる力は強かった。


…初めてまともに男の子に触ったかも。


そう思って一人照れていたのは秘密だ。


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