Uncontrolled(アンコントロールド)
朝倉は、星名がつれない態度を取っても気にしない。口を開きながら感慨深そうに頷く。
「当たり前なんだけど、星名ちゃん、大人になったんだね」
「すみません。バージンじゃなくて」
「そんなの、俺が一番よく知ってるし。俺だってチェリーじゃないし」
「寧ろ、だったら吃驚です」
「いや。今のは単に俺が見栄張っただけかもしれないから、何だったら今夜試してみてもいいよ」
さらりと隣りで言ってのける朝倉に、星名は口元に運んでいたカップから思わずコーヒーを噴き出しそうになる。ガラス越しに彼を見れば目が合って、どうする?とばかりに眉を押し上げてにこりと笑ってみせる。
「試しませんよ」
「えー? 残念だな」
言ってから朝倉に向き直れば、やはり、ちっとも残念そうではない。けれども、整ったその顔を一瞬だけ困ったように歪めて、星名の頭にふんわりと手のひらを置いた。
「先輩……?」
見つめ返してくるその瞳は何を言わんとしているのか、星名には分からない。
ほんの数秒にも数分にも思えるあいだ、朝倉はじっと星名を見つめていた。
どのくらいそうしていたのか、頭頂部に感じていた熱がふと軽くなり、と同時に彼が席から立ち上がる。
「今日はそろそろ帰ろうか」
その問いかけに、星名も頷いて席を立った。
「当たり前なんだけど、星名ちゃん、大人になったんだね」
「すみません。バージンじゃなくて」
「そんなの、俺が一番よく知ってるし。俺だってチェリーじゃないし」
「寧ろ、だったら吃驚です」
「いや。今のは単に俺が見栄張っただけかもしれないから、何だったら今夜試してみてもいいよ」
さらりと隣りで言ってのける朝倉に、星名は口元に運んでいたカップから思わずコーヒーを噴き出しそうになる。ガラス越しに彼を見れば目が合って、どうする?とばかりに眉を押し上げてにこりと笑ってみせる。
「試しませんよ」
「えー? 残念だな」
言ってから朝倉に向き直れば、やはり、ちっとも残念そうではない。けれども、整ったその顔を一瞬だけ困ったように歪めて、星名の頭にふんわりと手のひらを置いた。
「先輩……?」
見つめ返してくるその瞳は何を言わんとしているのか、星名には分からない。
ほんの数秒にも数分にも思えるあいだ、朝倉はじっと星名を見つめていた。
どのくらいそうしていたのか、頭頂部に感じていた熱がふと軽くなり、と同時に彼が席から立ち上がる。
「今日はそろそろ帰ろうか」
その問いかけに、星名も頷いて席を立った。