夏の恋は弾ける炭酸


手の模型作りの作業に没頭してると、授業の終わりのチャイムが鳴った。

今日の美術の時間が終わる。

授業の号令をかけるや否、彼はそそくさと教室を出て行く。

彼は友達とふざけあって、楽しそうに微笑んでる。

やっぱり私は、彼のあの笑顔が好きだなぁ。



「夏菜…夏菜って本当に和泉くんの事が好きなんだね!
何か二人を見てて、こっちまでほんわかするよ」


由梨が荷物を持ったまま、彼の後ろ姿をじっと見つめている私に話しかけてきた。

由梨に"本当に和泉くんの事が好きなんだね!"

と言われて、一瞬ドキッとした。
今の私の頬は、熱があるみたいに真っ赤になってると思う。


由梨がやけに今日に限って、まるで私達がお似合いカップルみたいに、べた褒め。



「由梨、私このままで良いのかな?
ずっと告白しなきゃ!って思ってるんだけど、中々言い出せなくて」


由梨だからこそ、私は素直に今の気持ちを打ち明けてみた。

すると…
いつもは相槌を打つばかりの由梨が、思わぬことを口にする。


「それだったら、夏祭りに誘ってみたら?」



「え!?」


今日の由梨は、いつもよりポジティブで、積極的になっていた。


「だーかーらー
夏祭りの日に浴衣着て、おしゃれしたら…
和泉くん絶対イチコロだってぇ!」


「本当?」


「うん!夏菜の恋が叶うよう、応援してるから!
ほら、教室戻るよ~」


「由梨、あ、ありがとう」


由梨は私が教室に行くようあまりにも急かすから、私は荷物を持って、美術室を後にした。



それにしても今日の由梨、何か変だよなー…


何か私に隠し事してそう。


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