腐女子姫と七人の王子様
「ふーん、よくここまで調べられたね」
蝶羽が感心したように顎に手を当てる。
「顔と名前は昨日のうちに分かってたし、学校じゃ有名人だから、生徒とかに聞いたら結構情報入ったよ」
「二次元しか興味ない阿弓が、ここまで調査できたとは……って待て待て待て待て!」
何かに気づいた亜希乃が、破るような勢いで手帳を握る力を強めた。
「ねぇちょっと!!明らかになんか変な項目あったよね?!」
「……あー、備考のとこの受けとか攻めとか?」
手帳の下の方の欄を指さす蝶羽。
「蝶羽、今気づいたの?!」
「だってさー、キャラとして考えないと難しいんだもん」
人間としてじゃなく、アニメやゲームのキャラだと思わないと上手く思考が回らなかったのと、持ち前の腐女子精神のせいでこんな風になってしまった。
それに、すごくアニメにいそうな濃いキャラばっかなんだもん。
「だからって失礼でしょ!特に睦月先輩と生駒先輩は年上だよ?!」
……ごもっともだ。
そう言えばあんなんでも先輩だったな。
「まぁまぁ亜希乃、落ち着いて。取り敢えず、恋人にすると仮定してどうか、考えてみようよ」
「蝶羽って変なとこで冷静だよね……」
亜希乃は諦めたように溜息を吐いた。