腐女子姫と七人の王子様

思い出した!私、こいつに気絶させられたんだった!

恐らく、あの首筋の痛みはスタンガンを当てられたんだろう。

「まだ二十分程しか眠ってないよ、君は。それと、一応言っとくけど、逃げるなんて考えないように」

え?逃げる?それってどういう―――


ジャラッ


「は?」

思わず、間の抜けた声が出た。

首だけ動かして手元を見ると、鉄球の付いた手錠が掛かっていた。

重くて腕を上げることすら難しい。

まるで囚人だ。

「ちょっ、え!?はぁ?!何これ?!」

気を失ってる時に掛けられたのか。

「待って、えっ、ていうかここ何処?!」

「美術室の下にある地下倉庫。今は使われてないけどね」

紫臣くんは混乱する私を放っといて、絵を描く作業に没頭する。

鼻歌交じりに手を動かしてて、本当に楽しそう。……今の私と対照的で。

「……こんな所に連れてきて、何するつもりだ?」

もう何を言っても何をしても聞く耳持たないだろうけど、私は呑気に絵筆を動かす背中に怒声を放つ。
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