腐女子姫と七人の王子様

街の象徴である旗も、完璧に同じ。

「……僕が君を好きになった理由はね、君の物語に惹かれたからなんだ」

「私の?」

「勿論、今は作品だけじゃなく、君の全部が好きだけどね」

また暗い目で私をうっとりと見る紫臣くん。

……それでも、私の物語を褒めてくれるのは、正直嬉しい。

「こんなに魅力溢れる物語を書いたのは誰だろうと思って、その場にいた文芸部員に聞いたら、君だって分かったんだ」

やっとポケットから鍵を出し、がチャリと手錠外してくれた。

良かった!やっと解放された……

「会えて嬉しい」

優雅に手をとられ、そのまま手の甲にキスを落とされた。

「ひゃ!?」

くすぐったいのとびっくりしたのとで、思わず変な声が出る。

「ねぇ、榊さん。僕は本当に君が好きなんだよ」

スルリと、白い手が私の頬に触れる。……冷たい。

「君が欲しい―――」

黒真珠みたいな目が潤んでる。

……こうやって私『だけ』を求めてくれる人って、初めてだな。

もしかしたら、純粋に私を好いてくれてるだけなのかもしれない。
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