腐女子姫と七人の王子様
言うが早いが、さっさと教室を出て行ってしまった。
「なんだろね?」
「さあね」
「……」
その日の授業と部活は、竜胆くんの言葉が気になってしまい、集中出来なかった。
そして、部活終了後の放課後。
私は足早に昇降口へ向かい、靴を履き替え、校門へ向かった。
五月とはいえ、この時期の夜は冷える。
外はすっかり暗くなり、街灯がポツポツと付いている。
「……ん、っくしゅっ!」
誰かがくしゃみをする音が聞こえた。
もしかして……
校門のすぐ横にいる小さい影に、私はすぐに声をかける。
「り、竜胆くん!?ずっと待ってたの?!」
「あ……先輩!はい、お待ちしておりました!部活お疲れ様です」
もふもふな飾りがついた手袋を外して、私に手を振る竜胆くん。
ポケットティッシュを取り出してかむ鼻は、真っ赤になっていた。
「ちょっと、大丈夫?寒かっただろ」
「平気です。それより、先輩に早く見せたいものがありまして……」