腐女子姫と七人の王子様
「……竜胆くんは私なんかのどこを好きになってくれたの?」
「え?」
なんとなく、静かにしてると心細くなって、竜胆くんに声をかけてしまった。
せっかく星空を見てたのに、邪魔したかな、と思ったけど、竜胆くんはハッキリと答えてくれた。
「何となく、です」
「何となく?」
「はい」
何となくで、こんな女子力零点で腐女子力満点の奴に惹かれるの?
「体育祭の時に張り切って準備してたり、友達の相談に親身になってたり……いや、それ以外にもあるか」
んー、と顎に指を添えて考えるポーズをとる竜胆くん。
「先輩は自覚がないみたいですけど、貴女は綺麗ですよ?」
高い木の上で、街の灯りは殆ど届かないはずなのに、竜胆くんの眼は星よりも光って見える。
容姿は弱いネズミみたいなのに、瞳は獲物を逃がさない狼みたいだ。
―――目を逸らすことができない。
「例えばー、細い首筋とか、長い脚とかー……喧嘩が強いようには見えませんね」
星みたいな瞳がキョロっと動く。
「睫毛も長いし〜……唇も綺麗ですよね」
「……ありがとね。嬉しい。嬉しいよ。けど……」