腐女子姫と七人の王子様
「けど、なんですか?」
「……ちょーっと、近い、かな?」
話してる間に、竜胆くんは段々と私との距離を縮めていて、もう吐息が当たるくらいになっていた。
状況を理解した彼は、一瞬固まった。
「え、あ、わっ?!ご、ごめんなさい!!」
慌ててぱっと離れる竜胆くん。顔が真っ赤。もう可愛い顔に戻ってる。
「じゃ、じゃぁ、もう遅いですし……帰りましょうか。先輩、駅まで送りますよ」
「え?!待って、これで駅まで?!」
また私を姫抱きして、ひらりと木から降りる竜胆くん。
地面に降りた時、私はひとつ気がついた。
「あれ、私電車通学だって、言ったっけ?」
私の通学手段なんて、今まで竜胆くんとの会話では出てきてないはず。
「……実は昨日、祁答院先輩がこっそり教えてくださいました」
「!!」
あのヤンデレストーカー野郎!!
「まぁ、僕もこんななりでも男なので、もしかしたら手段を選ばず色々やっちゃいますからね」
夜の街を駆ける竜胆の顔は、この満天の星空でも敵わないくらい、キラキラしていた―――