腐女子姫と七人の王子様
「……阿弓宛だよ」
ポイと捨てるように手渡された紙には、
『今日はオレ
よろしく
放課後駅前広場で待ってる
しぐれさわ はせる』
と、画数が多い名前だから書くのが面倒になったのか、小学生みたいな平仮名の多い文章で完結に書かれていた。
しぐれさわ はせる……時雨澤 馳……
あのビジュアル系っぽいジャイ⚫ン思考の奴……
こいつかよーーー……!!
私は頭を抱えた。
というか、それより文句を言いたいのは、たくさんある。
どこから投げ入れた?!
何でわざわざ窓割った?!
なんで直接言いに来ない?!
なんで普通の手紙にしない?!
ツッコミどころが多すぎてどこから言えば良いのか分からない。
もうこの時点で、今までで一番めんどくさい事になりそうだと、私は確信した。