腐女子姫と七人の王子様
まだ五月だってのに、汗で髪が濡れてきてる。
緩く結んだポニーテールがウザったくなるくらいに身体を揺らした。
曲が終わると、わあっと盛大な拍手が送られた。
皆、笑顔で良かったすごかったと感想を述べてる。
一応成功、なのかな。
客が全員去ってから、私はそのまま地面にへたりこんだ。
お、お、終わったぁ……
「ん」
ぴとっと冷たいものが頬に当たる。
振り向くと、時雨澤が冷えたスポーツドリンクを私の頬に付けて渡していた。
「お、ありがと」
それを受け取り、蓋を開けて一気に喉に流し込む。
はあぁ、生き返る……
全力で歌うのって、体力使うんだな。
中学時代、空手部に入ってた時を思い出す。
練習の後もこんな感じだったっけか。
でも唯一違うのは、疲れてるはずなのに謎の達成感と満足感があるって事。
「良いだろ、歌って」
隣に腰かけ、時雨澤が語り出した。