腐女子姫と七人の王子様
❇木曜日の花園王子様
「もったいないよね」
蝶羽の猫っぽい目が、スマホのリズムゲーをプレイする私の姿を捉えた。
今日は木曜日。
花宮 永遠が提案した「お試しデート週間」も折り返し地点だから少し落ち着いてるのに、邪魔しないでほしいんだが。
「……何がだよ」
どうやらさっき亜希乃が週番の仕事で職員室に行ってしまった為、この休み時間の暇を持て余したようだ。
けど、あいにく私はゲームする手を止められないから相手してやれない。
それでも蝶羽はマジマジと私を見る。
……視線がうっとうしい。
フルコン間近なのにミスしそうだ。
「旧家の出身でそこそこのお金持ち、六人のカッコいい兄がいる、中学時代は空手部所属してて喧嘩が強い、それなりに顔が整ったイケメン系女子で最強とも噂されてる……」
なぜか私のプロフィールを解析し始める蝶羽。
……一応合ってるけど、今更それがなんだよっての。
「あー!!これだけ属性詰め込んでるのに、アニヲタ腐女子なんて……もったいなさ過ぎる!!」
蝶羽が嘆くように両手の拳を机にダァンと叩きつけた。
「もったいないってなんだよ!それは蝶羽の意見だろ。私は私だ」
フルコン達成しハイスコアを叩き出した私はスマホを置き、蝶羽に向き直った。