腐女子姫と七人の王子様

今日はどうしちゃったんだ、こいつ。

情緒不安定か?

「……いや、まぁそうなんだけどさ、ちょっと真面目な話」

蝶羽は猫目をキリッと釣り上げて人差し指を立てた。

「自分を曲げたり無理に周りに合わせたりしないで、自分をさらけ出しまくる真っ直ぐなところは、阿弓の良いところだよ。それは私も好意的には思ってる」

「え、何……私三次元のナマの百合は地雷気味なんだけど……」

蝶羽……散々私の趣味を理解できないとか言っといて、ソッチに目覚めたの?

親友といえど、さすがに鳥肌が立つ。

「ち・が・う!!!」

吠えるように私の方へ詰め寄ると、蝶羽は一気にまくし立てる。

「周囲を見なさすぎるのもどうかってことだよ!阿弓が今まで『祁答院 紫臣ファンクラブ』、『向坂 竜胆くんを見守る会』、『時雨澤 馳及びセル様親衛隊』に文句言われないのは、『榊 阿弓をお守りし隊』のお陰だからね?」

「何だそのよく分かんない団体……全部初耳なんだけど」

というか、最後の何?私にまであったの?

なんか怖っ。

「まぁつまり、何が言いたいかって言うと、阿弓に告白してきた美男子達のファンに何かされるかもしれないから、気をつけてって事」

「はぁ……」

心配しなくても良いと思うけどな。
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