腐女子姫と七人の王子様







はっ!

あ、あれ、私寝てた?

「おや、お目覚めですか」

明比さんの声がするって事は、夢オチじゃないね、こりゃ。

ズキズキと痛む頭を抑えながら、デジャヴを感じる。

紫臣くんの時と違って、スタンガンじゃなくて麻酔薬みたいなもので眠らされたらしい。

くっそー……なんで一週間に二回も気絶させられなきゃいけねーのよ……

えーと、ここは……前回と違って美術室じゃないな。

涼しい風が吹いてるし、建物の外?

ん、なんか良い香り……

「え、何ここ……植物園?」

「はい、現在は廃業しましたが、植物はまだ残っております。そしてこちらは、薔薇園です」

辺りを見渡すと、おとぎの世界みたいに薔薇の花がぶわっと所狭しと植えられていた。

華やかで甘い香りが、優しく鼻腔をくすぐっていく。

「わぁ……」

零れるように感嘆の声が出た。

初めてだ……こんな綺麗な花見たの。
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