腐女子姫と七人の王子様
何なんだ、何がしたいんだ、何が言いたいんだ……
全く分からん。
でも。
私をちゃんと『女の子』として見てるんだ。
「私は知ってますよ、貴女は過去に男の子のように振舞っていた時期があると」
「な……」
どこからその情報を……
チラリと脳裏に猫目で笑う女とあほ面したショートヘアの女の姿が映る。
蝶羽か亜希乃だな……
「い、良いじゃないですか、別に。こんなにガサツだし、オタクのくせに喧嘩は一丁前に得意だし、それに……か、可愛くなんてないし……」
言い訳するみたいにそっぽを向いた。
男兄弟の末っ子長女として生まれた私には、蝶羽みたいに柔らかく笑う事も、亜希乃みたいに天真爛漫に振る舞うことも出来ない。
だから男みたいに扱ってもらった方が楽なんだ。
「先程言ったでしょう。貴女は愛らしいと。他人の目からはそうは見えなくとも、私にはそう見えるのです。その事実は変わりません」
「……そんなの、っ、わ?!」
明比さんは今度は首筋を舐めてきた。
「ほら、ちゃんと『女の子』ではありませんか」