腐女子姫と七人の王子様

ふーん、アパートに一人暮らしなんだ。

余裕そうにヘラヘラしてたし、留学してて一年留年してるって言ってたから、てっきり小洒落た高そうな家で家族と暮らしてるイメージだったんだけど。

金持ちかなって予想してたのに、こんな普通のアパートとは意外だ。


ガチャ


玄関のドアが開いた。

「ん、うぁー……っさいな、誰……」

眠そうな花宮の声がドアの隙間から聞こえてくる。

寝てたのかよ!!

あくまでお試しとはいえ、一応デートだよ?礼儀がなってねーなぁ!

一発眠気覚ましも兼ねて、右ストレートお見舞いしてやろうか……

「えっ」

「えっ」

思わず、数秒間顔を見合わせてしまった。

だって今目の前にいるのは、ボサボサ頭に『仁義』と書かれたTシャツにスウェット姿の男。

部屋の奥には派手な龍が描かれたスタジャンと錦鯉の絵がプリントされたTシャツがかかってるし、玄関横の棚にはバイク用のヘルメットが置かれてる。

「……花宮?」

やっと、私は声を出せた。

最初のイメージと違いすぎる……
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