年下彼氏の甘い罠


「君たちが担当になってから新しい取引先や若いお客様が増えたと聞いているよ。」


「そんな。谷内部長にはまだまだ及びません。」


今私が多岐川企画というパートナーと仕事できているのは谷内部長が長年積み上げてこられた関係の上に成り立っているもの。


部長こそ誠実に仕事をし、会社に確実な利益、得をもたらしておられる。


私が最も尊敬する先輩だ。


「そうだね。若い人達にはまだまだ負けていないつもりだよ。」


そう言って、部長も優しく微笑んでくれた。


私は仕事上の人間関係に恵まれている。


尊敬できて支えてくださる方が多い。


例えプライベートは恵まれていなくても…。


こんな人に見守ってもらえるなら頑張っていける気がした。


「それはそうと、君たち。」


「はい?」


「結城くんがうちの担当に付いてくれて1年。もう大分打ち解けているだろ?」


部長が代わる代わる私たちに顔を向ける。


打ち解けているかと聞かれれば、私はそうだけど結城さんはどうなんだろう…。


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