年下彼氏の甘い罠
ちょうどその時「失礼します。」という声とともに障子が開けられて、さっきの女将が入ってきた。
「本日はお越しいただきありがとうございます。本来なら3名様でお料理の方承らせて頂いておりましたが、2名様ですので1名様分はお飲物代とするように谷内様より承っております。何になさいましょうか?」
え…飲み物代くらいは、と思っていたのにどこまでも谷内部長に甘えさせてもらって申し訳なくなった。
「折角のご厚意なので、尾崎さんはよかったらお酒どうぞ。俺は運転あるんでノンアルコール頂きます。」
「え?私も同じもので。」
そう何度も言ったのに、結局結城さんと話し上手な女将に押し切られて私だけアルコールを頂くことになってしまった。
運ばれてきたビールを前にして、やっぱり申し訳なくなってくる。
「本当に、私だけ…ごめんなさい。」
結城さんは見た目は同じオールフリービールを持っていつもの様に笑顔だった。
「いえ、尾崎さんに飲んでもらえて嬉しいです。」