終わらない恋
魁斗と安曇さんが別れて2週間後、あるニュースが飛び込んできた。
テレビの殺人事件だ。
その、殺された人物が安曇さんだった。
私が疑問に思う前に魁斗が机を両手で叩いた。

「なんでだよっ!!」

魁斗は泣いていた。
安曇さんを振るときも泣かなかったのに。
やっぱり、大切な人だったんだって。
もう、会えないんだって。

「魁斗、ごめん。私、家に帰る」

そう言って立ち上がり魁斗の家を出た。
頭が、思考が追いついていかない。
このままじゃ、おかしくなりそう。

でも、家に帰る気なんかない。
最初から、もう、どこにも行く気がない。
私に価値はない。

昨日、給料日だったから、コンビニによってお金を下ろす。
8万円しかなかったけど、高校生には充分のお金。
ホテルとかは未成年だから泊まれないし、結局寝る場所には困るんだけどね。

ご飯を食べるためにファミレスに入る。
辺りを見回すとたくさんの人がいた。
みんな、家族とか友達とかと一緒で騒がしく食べている。
それを見ているとなんだか虚しくなった。

「一名様ですか?」

店員さんに問いかけられ、はい、と答えると小さな2人席に案内された。
お冷とおしぼりをもらって、メニューを広げると、美味しそうなオムライスが目に入った。だから、呼び鈴を鳴らして、それを注文した。

運ばれてくるまできっと時間がかかる。
そう思ったから何ヶ月かぶりにスマホを開いた。
電池が残ってたのが救いだった。
マックへ行けば充電できるから、後で行こうかな。

「すみません、オムライスお持ちいたしました。お待たせいたしました。ご注文は以上でよろしいですか?」

私は頷いた。
オムライスをひとくち口に入れるとふわふわで、幸せになる。
頬張って食べていると急に名前を呼ばれた。

「あんたが唯だな?」

怖そうな女性。
金髪でケバくて、目つきが悪い。

「おい、食ってねぇで答えろよ」

机を蹴られて、オムライスが宙を舞って落ちて、机も倒れて、お客さんたちは驚いている。

「なんですか?」

怖くてつい、小さな声になってしまう。

「お前、魁斗の彼女だろ」

殺意のこもったその目は、安曇さんを連想させた。
元カノでも、魁斗の彼女だったことに変わりはない。
そして、今の私の状況。

「あんたでしょ。安曇さんを殺したの」

「はあ?何言ってんの?」

「許さない」

私は女を睨みつけた。
そして指を鳴らす。
久しぶりの感覚。

「後悔すればいいよ。私の前に現れたこと」
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