終わらない恋
「ごめん。なんとなくしか分かんない」

じゃあ、といって魁斗が取り出したもの。それは、私と魁斗が一緒に写っている写真だった。

「これ、モデルの仕事の時のやつだよね?」

「うん。共演した時に撮ったやつ」

家に雑誌があったから覚えてるけど、魁斗と共演した記憶はない。
首を横に降ると魁斗は少し寂しそうな顔をした。

「でも、無事でよかった。あいつは警察に捕まったよ。安心して」

そう言って微笑む魁斗の目には涙がたまっていた。

「多分事情聴取に警察がくるんじゃないかな」

私は俯いた。
なんだか気分が悪い。

「唯?大丈夫?」

「屋上行く」

私はベッドからおりて病室を出た。
案内板があって、見ると一個上の階だった。
エレベーターに乗って屋上へと向かう。
屋上に着くと優しい風が頬を撫でた。
青空で、でもなんだか暗い感じがする。


『ねぇ、私の言葉の中
隠れている感情
頰に指先寄せて
流れる涙を拭うの
手を伸ばせば届きそうな
あのふかふかな白い雲
夢の中で追いかけていた
雲のクジラ
今目を閉じればあの頃に
戻れるような気がして
目を閉じて見るけれど
真っ暗で一人寂しいだけ
どれだけ時間がたってても
あなたのことは忘れない
手を繋いでくれた導いてくれた
あなたから沢山のプレゼント
どれだけ幸せもらったかな
あなたは幸せだったかな
笑ってくれた好きって言ってくれた
あなたが大好き』

今作った歌。
私だって歌手になりたかった。
でも、田舎じゃ無理だから諦めてた。
雑誌モデルとかはできたけど…。

私がもっと強かったら、
私がもっと可愛かったら、
きっとこんなことになってない。
臆病な私が魁斗と付き合うこと自体がおかしかったんだね。

なぜか笑えてきた。
なのに涙も溢れてくる。

このまま壊れちゃえばいいのになぁ
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