【短集】Color
【雨に混じりゆく】
もうダメだよ。
さようならだよ。
あたしは狭い道路に立って雨に打たれていた。
黒猫があたしの足下にいる。
君には、あたしの気持ちが分かる?
自由気ままに生きている君達に。
「…あはは……」
何で笑うんだろう。
カラカラに乾いた口から出た笑いは、かすれていた。
もう誰かを一生懸命に愛する事、
出来ないの?
すると、雨が一層激しくなった。
…あたしの気持ちみたいだ。
「ごめんなさい…」
そう呟いたら頬を伝わる雨。
………ううん、雨じゃない。
【雨に混じりゆく】
あたしの涙だ。