【短集】Color
…て事は…これは、今井の消しゴム?
あたしは、ペンを取り出した。
…人の物だけど、良いかな?
迷ったけど、とりあえず書く。
それで、消しゴムを今井に渡す。
「何書いてんだよ」
笑いながら消しゴムを見る今井。
今井は消しゴムを見ると、今度はあたしの方を見て、ニッと笑う。
何故かドキドキする心。
…何でかな?
「俺のおかげだな」
そんな事言われても何故か心臓の動きは激しくて。
数学の授業が、もっと耳に入らない。
今井の目を見つめる…ただそれだけで…精一杯。
隣のコイツ。
良い奴じゃん。
あたし達は静かに、バレないように笑い合った。
今井の消しゴムに書いた言葉は、あたしの口じゃ到底言えないし。
文章だけでも、素直にね。
この胸のドキドキは何だろう。
あたしは、知っているような気がする。
この感情を。
この気持ちを。
"ありがとう"
【Secret love】
…これが、二人の始まり。