【短集】Color


『仕方ねぇな』

高野は自転車に乗った。




………へ?


気変わってあたし置いてく(?)つもりー!?



驚愕していると。









『何してんの?
後ろ、乗れ。』



………へ?



『遅刻。』


………っわ!!!!





あたしは遅刻と聞いて急いで、高野の後ろに乗った。



周りの人が、あたし達を見てくる。

恥ずかしい気持ちでいっぱい。





しかも、高野と…


あたしの顔は赤く染まる。






でも、今の顔は高野には見られない。

良かった。







『飛ばす。』

へ!?



ビュンッ!!

…………ッ!?






「は、早いぃ!!」

『ったく、俺に捕まってろ』





……えぇ!?




『捕まんないと飛ばされるよ』







あたしはそっと高野にしがみついた。

温かい。





高野の香り。



あたしはその香りに酔いしれていた。









『で、塾どこ?』





あっ!!忘れてた。

てか知らないで飛ばしてたの…?





でも方向は運良くあってる。


「そこの角右っ」






勢い良くカーブする自転車。



「きゃっ!!」






ドキドキと激しく暴れる心臓。




あたし、やっぱり高野の事が……





好きなんだ。




好き。好き。
大好き。







高野の後ろで静かに一人で笑う。


この気持ち、いつか伝えたいな。






まさか高野と今日、喋れるなんて思わなかったよ。









【あなたの後ろ。】






夕焼けが、あなたみたいに眩しいよ。





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