【短集】Color
*高野悠side*
『ヤバい!!
塾遅刻だぁ!!』
そう自転車置き場で喚いているのは、坂下未来。
坂下はかなり焦っている。
そんな姿見たら、我慢出来なくなった。
『乗る?』
つい、俺はそう言っていた。
びっくり顔の坂下。
まぁ、突然俺が言った訳だし。
喋った事無いし。
そう思ったら、喋りかける勇気のない俺が情けない、なんて思った。
戸惑っている様子の坂下。
『高野に悪いよ』
そんなキャラなのかよ。
いっつも騒いでんのが坂下のキャラだけど、でも良く人の事を考えている。
坂下の良い所。
……それなら。
俺は自転車に乗った。
目を見開いて、かなり驚いている坂下。
『乗れ』
俺と二人乗り…
嫌かな?
『遅刻。』
そう言ったら坂下は急いで乗った。
……ガキみてぇ。
『飛ばす。』
俺はかなり飛ばして漕いだ。
後ろで叫びに似た声を出す坂下。
捕まれよ…
『捕まんないと飛ばされるよ』
坂下は少しためらいながらも、俺に捕まった。
小さな細い坂下の腕が、おずおずと俺に捕まる。
温かい体温が、体に伝わる。
………っ、
…あ。
塾への道聞いてねぇ。
『塾どこ?』
坂下は思い出したように俺に伝えた。
夕焼けが眩しい。
綺麗な夕焼け。
俺は心臓のスピードが異常なのに気づいていた。
凄く激しいスピードなのを。