君の聲だけ響いてる
プロローグ


聴きづらい世界

常に耳の中で何かが俺の
コミュニケーションツールを遮る。

途切れ途切れに聴こえる
人の声は俺を苦しめ
そして1人にする。

こんなことなら1人でいい
誰にも頼ならない

そんな思いが胸を過ったとき

ふと1つの光が
すごい速さで俺に突き刺さる。



「聴こえないのは君のせいじゃない。
堂々としてればいいんじゃない?」


「意外としゃべるんじゃん。

ねぇ。

"友達になろうよ。"」



言われなれない言葉の
羅列に胸がなんだか痒くなった。


そんな小学生でも言える単純な一言は
深い闇の中にいる俺をグンっと持ち上げる。


顔を上げればそこには綺麗な空が
広がっていた。



この景色...久しぶりだ。



もう2度と戻れないと思っていた景色に
なんだか、涙が止まらなかった。






< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop