君の聲だけ響いてる
プロローグ
聴きづらい世界
常に耳の中で何かが俺の
コミュニケーションツールを遮る。
途切れ途切れに聴こえる
人の声は俺を苦しめ
そして1人にする。
こんなことなら1人でいい
誰にも頼ならない
そんな思いが胸を過ったとき
ふと1つの光が
すごい速さで俺に突き刺さる。
「聴こえないのは君のせいじゃない。
堂々としてればいいんじゃない?」
「意外としゃべるんじゃん。
ねぇ。
"友達になろうよ。"」
言われなれない言葉の
羅列に胸がなんだか痒くなった。
そんな小学生でも言える単純な一言は
深い闇の中にいる俺をグンっと持ち上げる。
顔を上げればそこには綺麗な空が
広がっていた。
この景色...久しぶりだ。
もう2度と戻れないと思っていた景色に
なんだか、涙が止まらなかった。