やさしい眩暈
どこかぼんやりとしたまま、惰性で仕事をして、なんとか時間をやりすごす。


一時間ほど経って、本社に呼ばれて店から離れていたミサトさんが戻ってきたときには、心底ほっとした。



「レイラ、おつかれ。何事もなかった?」


「はい。大丈夫でした」


「そか、ありがとね」



いつものように報告をしていると、いつの間にかルイが隣に立っていた。



「ミサトさん………レイラさんが体調悪いみたいなんです。もう上がらせてもらっていいですよね? 俺、二人分がんばるんで」



ルイがそう言うので、慌てて私は止めようとしたけど、ミサトさんに肩をつかまれてしまった。



「えっ? レイラ、具合悪いの? ちょっと、大丈夫?」


「ぜんぜん平気です。ルイ、心配しすぎだって………」


「そんなことありませんて。めちゃくちゃだるそうじゃないですか」


「確かに顔色良くないね。レイラ、もう上がって。あとは私とルイでなんとかなるから」


「でも………」



ミサトさんはデスクワークも残っているはずだから、早引けするのは申し訳ない。


そう思って拒否しようとしたけど、ミサトさんは「でももなにもない」と聞く耳を持ってくれなかった。




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