やさしい眩暈
気まずい沈黙が、私とルイの間に漂っている。


ルイは目を伏せて羽毛布の端を見つめていたけれど、しばらくすると顔をあげた。



「―――ねえ、レイラさん」



ルイが真剣な声で言う。



「このまえ俺が言ったこと、覚えてますか」



私はゆっくりと瞬きをした。


ルイが何を言おうとしているのか探ろうと、その大きな瞳をじっと見つめ返す。



ルイはふうっと息を吐き出してから、そろりと手を伸ばして私の手をとった。


引こうとするとぎゅっとつかまれて、そのまま包み込まれる。



「………ルイ、なにするの」



責めるように言ったけれど、ルイはぴくりともしなかった。



「覚えてますよね。俺がレイラさんのこと好きだって言ったこと」



私は言葉につまり、ゆらりと視線を逸らした。


壁にかけてあるカレンダーを意味もなく凝視する。


クリスマスは来週なんだな、と不意に思った。




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