やさしい眩暈
「レイラさんの恋人って、どんな人なんですか」



そう訊ねられて、私の心に、恋しい姿が浮かび上がる。


鮮やかなスポットライトを浴びて白く輝いていた、ステージの上のリヒト。

私に背を向けて眠る、自分勝手で冷たいリヒト。



「………どんな、って」



私は小さく問い返した。

ルイが焦れたように言葉を続ける。



「優しい人ですか? ちゃんとレイラさんのこと大切にしてくれてますか?」



私は何も答えずにルイを見つめ返した。


私の手をにぎるルイの指に力がこもる。



「レイラさんがこんなにやつれるまで、その人は何も言わなかったんですか? 恋人なのに?」


「…………」


「レイラさんのこと、心配してくれてますか?」


「…………」


「レイラさん、ちゃんと答えてよ」



ルイがぎゅっと眉根を寄せる。



「なにか言ってよ………」



私は微かにため息をもらして、『優しいし、大事にしてくれるし、心配もしてくれる』と答えようと口を開く。


その瞬間、ルイが言った。



「嘘はつかないでね。絶対に」



その眼があまりに真っ直ぐで、私は思わず、言おうとした言葉を呑み込んだ。




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