やさしい眩暈
「………優しいときも、ある。心配は―――どうかな。何も気づいてないだろうから………」



そう答えてから、自己嫌悪で吐きそうになった。


自分に好意を寄せてくれているらしい男の子に、わざわざこんなことを言うなんて。


私はルイに心配されたいんだ。

だから、こんな弱音を吐いて………。


私は、なんて打算的な女なんだろう。



ルイの顔が苦しげに歪む。



「なにそれ、どういうこと? 気づいてないって………最近会ってないってことですか? 一番最近会ったのはいつ?」


「………おととい、会ったよ」


「そのとき、何も言われなかったの? レイラさん、最近すごくだるそうでしたよね。俺は前から気づいてましたよ。彼氏は何も気づかなかったの?」


「…………」



責め立てるように言われて、苦しくなった。


喉の奥のほうが絞られたようになって、声が出せない。



私は布団を頭からかぶった。


ルイの顔が見えなくなったら、少し呼吸が楽になる。



「―――ごめん、ルイ。ちょっと休みたいから、もう………」



もう帰って、とはさすがに言えなかった。


わざわざ家まで送ってもらったのに、私はなんて薄情なんだろう。


本当に最低だ。




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