やさしい眩暈
「………すみません。具合悪いのに、変なことばっかり訊いちゃって」



ルイが本当に申し訳なさそうに謝る声が聞こえてきて、私の自己嫌悪はさらに深まった。



ルイは、なんて良い子なんだろう。


素直で、明るくて、朗らかで。

優しくて、穏やかで、思いやりがあって。

そして、驚くくらい真っ直ぐで。


眩しい、と思った。

こんなに眩しい子が、どうして―――。



「―――なんで、私なんかが好きなの?」



気がついたら、考えていたことがそのまま口に出ていた。


理解できない。

ルイは性格も見た目もいい。

寄ってくる女の子はたくさんいるはずだ。


それなのに、私なんかのことが好きだという。


私は布団を少しだけ下げて、ちらりとルイを見つめる。


ルイは意表を突かれたように目を見張ってから、少し怒ったように眉をあげた。



「そんな言い方、やめてください。『私なんか』なんて言ってほしくないです」



ルイは唇を尖らせて、はっきりと言う。



「俺は、本当に、本当にレイラさんのことが好きだから………だから、たとえレイラさん自身にでも、レイラさんのことをそんなふうに言われたら腹が立つんです」



ルイの言い分は、ずいぶん奇妙なものだとは思ったけれど、私はルイの勢いに圧されて、ごめん、と謝った。




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