やさしい眩暈
「レイラちゃん、こんばんは」
来店したのは、週に何回か来てくれる常連のサラリーマン、林田さんだった。
「こんばんは、いらっしゃいませ。今日は何になさいますか?」
お冷やをテーブルに置きながら訊ねると、林田さんは「うーん、そうだなあ」と首をひねる。
「レイラちゃんのおすすめは?」
「そうですね………今日は寒いので、身体が温まるものがいいですかね。ホットチャイとか」
「チャイ? どんな飲み物だっけ?」
「紅茶の茶葉を、水じゃなくて牛乳で煮出すんです。とても濃厚なミルクティーという感じです。それにシナモンとかジンジャーとかグローブとか、スパイスを入れるので、温まりますよ」
「へえ。じゃ、それもらおうかな」
「かしこまりました」
私は一礼してキッチンに向かった。
するとルイがなぜか、カウンターごしに険しい表情を向けてくる。
「ホットチャイひとつ………どうしたの? ルイ」
「了解です………何を話してたんですか?」
どういう意味か分からなくて、私は怪訝な顔で首を傾げる。
ルイは冷蔵庫からチャイの入ったポットを取り出しながら続ける。
「あのお客さん―――林田さんでしたっけ、あの人と、何か喋ってましたよね。何の話ですか?」
来店したのは、週に何回か来てくれる常連のサラリーマン、林田さんだった。
「こんばんは、いらっしゃいませ。今日は何になさいますか?」
お冷やをテーブルに置きながら訊ねると、林田さんは「うーん、そうだなあ」と首をひねる。
「レイラちゃんのおすすめは?」
「そうですね………今日は寒いので、身体が温まるものがいいですかね。ホットチャイとか」
「チャイ? どんな飲み物だっけ?」
「紅茶の茶葉を、水じゃなくて牛乳で煮出すんです。とても濃厚なミルクティーという感じです。それにシナモンとかジンジャーとかグローブとか、スパイスを入れるので、温まりますよ」
「へえ。じゃ、それもらおうかな」
「かしこまりました」
私は一礼してキッチンに向かった。
するとルイがなぜか、カウンターごしに険しい表情を向けてくる。
「ホットチャイひとつ………どうしたの? ルイ」
「了解です………何を話してたんですか?」
どういう意味か分からなくて、私は怪訝な顔で首を傾げる。
ルイは冷蔵庫からチャイの入ったポットを取り出しながら続ける。
「あのお客さん―――林田さんでしたっけ、あの人と、何か喋ってましたよね。何の話ですか?」