やさしい眩暈
「………レイラさん、無防備すぎますよ」



ルイは少し呆れたように呟く。


私は思わず、ごめん、と謝った。



「いえ、謝る必要はありませんけど」


「………うん」


「ただ、男からそういう目で見られることもあるんだって、下手したら変なことされるかもしれないんだって、分かっててほしいっていうか」


「…………」


「って、それは俺もか。レイラさんが迷惑がってるのに、思いっきりそういう目で見てますもんね」



ルイが突然、情けない顔で微笑みながら、そんな自嘲的な言い方をしたので、私は慌てて顔をあげた。



「そんなこと………」



そんなこと、思ってない。

迷惑だなんて、思ってない。


そう言いかけてから、私は口をつぐんだ。


その言葉を口にすることが正しいのかどうか、私には分からなかったから。



「…………」



黙りこんでしまった私を見て、ルイが空気を変えるようににこりと笑った。



「つまんないこと言っちゃって、すみませんでした。さあ、仕事に戻りましょう」


「うん………えと、ありがとう」


「え? なにが?」


「あの、心配してくれて………っていうか、忠告してくれて」



ルイがくすりと笑った。



「俺が勝手にやきもきしてただけなんで、気にしないでください」




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