やさしい眩暈
いたたまれない。

居心地が悪い。


ルイといると、どんな顔をしていればいいのか分からなくなる。



ぼんやりとカウンターを拭いていると、後ろで足音がしたので私は振り向いた。


大きなダンボールを抱えたルイが戻ってくる。



「ルイ、ありがとね。助かった」


「いえいえ、どういたしまして。ご褒美はなんですか?」


「えっ?」



私は目を丸くしてルイをじっと見つめ返す。



「ご褒美? ごめん、考えてなかった………何がいい?」



思わず謝って訊ねると、ルイがぷっと噴き出してお腹を抱えた。



「あはは、うそですよ。冗談。珈琲豆運んだくらいで、ご褒美なんて要求するわけないじゃないですか」


「………年上をからかわないの」



私はじろりとルイを睨みつけるふりをした。


ルイは平然として、まだおかしそうに笑いをこらえている。



「でも、『何がいい?』って訊いてくれたってことは、もしかして、ご褒美ねだったらくれるんですか?」


「………まあ、そうだね。ルイには色々お世話になってるし」



最近、数えきれないほどルイに迷惑をかけている。


その謝罪とお礼をまとめてしなければ、と思っていたのだ。



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