やさしい眩暈
「………ルイ、なにか企んでない?」



眉根を寄せて訊ねると、ルイの笑みがにやりとしたものに変わった。



「さすがレイラさん。企んでますよ」



ふふっと声をもらしたルイが、背負っていたリュックの中から何かを取り出した。



「俺にご褒美くれるって言ってましたよね」


「………うん」


「じゃ、ご褒美に、これ受け取ってください」


「え?」



どういうことだろう。


私がルイにご褒美をあげるという話だったのに、なんでルイが私に物を渡すのか。



首をひねりながら、私はそれを受け取った。



「………なに、これ」



思わず呟いたものの、本当に分からなかったわけではない。



ルイが手渡してきたのは、ワインレッドの平たい箱。

大きさは結構あるけれど、重さはそれほどではない。


それに金色のリボンがかかっていて、そのリボンには《Merry X'mas》と書かれている。


これが何なのかは、一目見れば明らかだった。



「クリスマスプレゼントです」



ルイがふんわりと笑う。



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