やさしい眩暈
私はきれいにラッピングされた箱を見つめながら、なんとか声を絞り出した。



「………こんなの」



受け取れないよ、と答えようと思った。


それを察したのか、ルイが遮るように口を開く。



「受け取ってくれますよね? ………受け取ってください。お願いします」



懇願するように言われて、返す言葉が見つからない。


ただ、首を小さく横に振った。



「お願いです。ご褒美、くれるんでしょ? それを受け取ってもらえることが、俺にとっては最大のご褒美になるんです。お願いします」


「………そんなの、変だよ。ご褒美っていうなら、私がルイに何かあげるのが普通でしょ?」


「普通なんて関係ありませんよ。俺が喜ぶことをしてくれるのがご褒美でしょう」


「………」



言葉に詰まってしまう。


ルイがたたみかけるようにまた口を開いた。



「そんなに深く考えないでください。ただ、バイト先でお世話になってる先輩に、お礼の印にちょっとしたプレゼントを用意したってだけです」


「………」


「一生に一度のお願いです」



ルイがあんまり真剣に言うので、なんだかおかしくなってきて、私は噴き出した。



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