やさしい眩暈
笑いがこみあげてきて、とまらない。



―――どうしてだろう。


ルイと一緒にいると、いつも笑っている気がする。




「なに………一生に一度のお願いって。しかも、それがこんなことでいいの?」



私がプレゼントの箱を示しながら言うと、ルイも笑った。



「すみません、一生に一度っていうのは誇大広告でした。三度くらいはお願いしたいです」


「人生でたった三回でいいの?」


「え、もっとお願いしてもいいんですか? じゃ、100回にしよう」


「それは増やしすぎ」


「ですよね」



笑っていると、ルイがふいに、私の手もとに腕を伸ばしてきた。


それを目で追うと、ルイの手が金色のリボンをするりとほどいた。



それから、悪戯っぽい笑みを私に向けて言う。



「包装ほどいちゃったから、もう返品できません。受け取ってくれないと無駄になっちゃいます」



私は呆れ返ってルイを見た。



「ほんと、戦略家だね」


「なんとでも言ってください。自分の目的を達成するためなら、俺はいくらでも策略を練るんです」



私は仕方なく箱をあけた。




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