やさしい眩暈
「俺があげたものをレイラさんがもっている、って思うだけで、俺はけっこう幸せになれちゃうんですよ。健気でしょ?」



その言い方がおかしくて、私はまた笑った。



「自分で言っちゃうのね」


「だって、自分でも思いますもん。俺ってなんて一途で健気なんだろうって。レイラさんもそう思わない?」


「………それはさすがに答えづらい」



返答に困り、あいまいに笑って俯くと、ルイがぷっと噴き出した。



「レイラさん、かわいい」



何気ないように言われたその言葉が耳に入ってきた瞬間、心臓が大きく跳ねるのが分かった。



「………な、なに言ってんの。からかわないで………」


「え?」



ルイがきょとんとした顔になる。



「からかってなんかいませんよ。思ったこと言っただけです」


「………」



どくどくどく、と鼓動の音が高鳴る。


声を出したら震えそうで、私は何も言えなくなった。



「―――もらってくれますか?」



ルイが私の顔を覗きこんでくる。


正視できなくて、私は少し目を逸らした。



でも、ちゃんと言わなきゃ、と自分を励ます。



「うん………ありがとう。嬉しい」



ルイが花咲くように笑った。




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