やさしい眩暈
私たち三人は、雪の舞う街の真ん中に佇み、静かに見つめ合う。



無表情なリヒト。


眉をひそめるルイ。


そんな二人をぼんやりと見比べるしかない私。



「………あなたは、酷い男ですね」



ルイがきつく眉根を寄せて、リヒトに向かって静かに告げた。



リヒトが口角をあげる。


薄く笑って、それでも何も言わない。



「あなたは、レイラさんのことをどう思ってるんですか?」



リヒトの表情は変わらない。



答えるつもりがなさそうだったので、私は安堵の吐息をもらした。


よかった。

リヒトの答えなんて、私は聞きたくなかった。



「レイラさんはあなたの恋人じゃないんですか? 大切な存在じゃないんですか?」


「………」



ルイが眉を寄せ、まるで睨みつけるようにリヒトをまっすぐに見つめる。


リヒトはただルイの眼差しを受け止めていた。



「………もう、いいです」



リヒトがいつまでも黙ったままでいるので、ルイは諦めたようにそう言った。



「レイラさん、行きましょう」



ルイが私の手をとる。


私は反射的にリヒトを見た。


リヒトはなんの感情も浮かんでいない瞳で、じっと私を見下ろす。



それから、「じゃあな」と何事もなかったように言って、踵を返した。




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