やさしい眩暈







翌日のクリスマスは、シフトが入っていなかったので、一日中ふとんにくるまったまま、部屋で過ごした。


リヒトから連絡がくるかもしれないと、携帯電話はすぐに手に取れる場所に置いておいた。


でも、着信音は鳴らなかった。



一度だけ、メールの受信を知らせる音が鳴ったけれど、リヒトはメールをしないので、私は確かめることもしなかった。



ぼんやりと壁を見つめる。


私の視界の真ん中、ふたつのマフラーがハンガーに掛けてある。


頭の中では、リヒトとルイのことがずっとぐるぐる回っていた。



今までは、部屋に一人でいるときは、リヒトのことばかり考えていた。


でも、昨日あんなことがあったから―――どうしても二人のことを考えてしまう。



私はリヒトのことが好きだ。


―――好き? ちがう。

そんなありふれた言葉では語れないくらい、私にとってリヒトは、唯一無二の絶対的な存在だ。


リヒトは私の全て。

私の世界はリヒトを中心に廻っている。



それは、今も昔も変わらない。


だって、こうしている今でも私は、あるかも分からないリヒトからの呼び出しを待ち続けている。



―――それなのに。



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