やさしい眩暈
リヒトのことばかりを考えているはずなのに………

私は今、心の残り半分で、ルイのことを考えている。



ルイがプレゼントしてくれたマフラーを見るたびに、泣きたいほどに穏やかな気持ちになっている。



私がどんなに冷たく素っ気ない態度をとっても、

少しも変わることなく、一途に健気に私を見つめつづけてくれるルイ。


それを思うと―――どうすればいいか分からなくなる。



こんな私を慕ってくれて、惜しげもなく想いを伝えてくれるルイために、何かできないかと考えてしまう。


あの真摯な眼差しに応えてあげたい。

私にできることなら、なんでもしてあげたい。


そんな無責任なことを考えてしまう心の動きを、自分では止められない。



―――どうして?

どうしてこんなことを思ってしまうの?


私にはリヒトだけなのに。

他のひとを見ることなんて、できないはずなのに。



思い通りにならない自分の気持ちが苛立たしかった。


いったい、私は、どうしたいんだろう―――。




瞼を閉じて、ため息をつく。


それからゆっくりと目を開くと、あたりが薄暗くなっているのに気がついた。


いつの間にか、夜が来ていたらしい。



私はのろのろとベッドから降りて、カーテンを閉めた。




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