やさしい眩暈
疲れを感じて横になり、枕に頬を埋めたままぼんやりと見つめていると、
長い指に煙草をはさんだリヒトが、ふいにこちらに目を向けた。
「………なに、お前、まだ帰んねえの?」
え、と呟くと、リヒトが眉根を寄せる。
「あいつら来るから、お前、さっさと帰れよ」
さあっと冷水を浴びせられたような気がした。
泊めてくれるのだと思っていた。
他の女が来ると電話してきたのを断っていたから、てっきり今夜は私といるつもりなのだと思っていた。
ちがうんだ。
あいつら、とリヒトが呼ぶのは、バントメンバーのこと。
彼らが来る約束になっていたから、女の申し出を断っただけだったのだ。
私のことは、食事の用意のためと、欲望の捌け口として呼んだだけだったのだ。
身の程知らずな勘違いをしていた自分に嫌気が差した。
いつものことなのに、一度変に期待してしまっただけに、やけに虚しかった。
「………ごめん、すぐ帰る」
私はそう呟いて、気だるい身体を無理やり起こした。
長い指に煙草をはさんだリヒトが、ふいにこちらに目を向けた。
「………なに、お前、まだ帰んねえの?」
え、と呟くと、リヒトが眉根を寄せる。
「あいつら来るから、お前、さっさと帰れよ」
さあっと冷水を浴びせられたような気がした。
泊めてくれるのだと思っていた。
他の女が来ると電話してきたのを断っていたから、てっきり今夜は私といるつもりなのだと思っていた。
ちがうんだ。
あいつら、とリヒトが呼ぶのは、バントメンバーのこと。
彼らが来る約束になっていたから、女の申し出を断っただけだったのだ。
私のことは、食事の用意のためと、欲望の捌け口として呼んだだけだったのだ。
身の程知らずな勘違いをしていた自分に嫌気が差した。
いつものことなのに、一度変に期待してしまっただけに、やけに虚しかった。
「………ごめん、すぐ帰る」
私はそう呟いて、気だるい身体を無理やり起こした。