やさしい眩暈
拝んでいた手をさげ、目を開いて顔をあげると、ルイの視線を感じた。
「もういいですか? レイラさん」
「あ、うん。ごめんね、待たせちゃった?」
「いえ、大丈夫です」
ルイが足を踏み出したので私も従った。
「でも、なんだか真剣にお祈りしてましたね。どんなお願いしたのか、訊いてもいいですか?」
「え……っ、それはちょっと。ていうか、願い事って、人に教えると叶わないっていうでしょ」
「えっ、そうなの? 俺、いつも家族とか友達に教えちゃってた!」
「今まで願い事、叶ったことある?」
「うーん、叶ってた気がするけどな。でも、じゃあ、今年は誰にも言わないことにします。絶対に叶ってほしい願い事なんで」
ルイが意味深な言い方をしたけれど、私は「そのほうがいいよ」と素知らぬふりをして流した。
「あ、せっかくだから、おみくじも引こうか」
「いいですね」
社務所に行ってみると、神主さんも巫女さんも不在で、おみくじの箱と代金をいれる容器だけが置いてあった。
「おみくじ、セルフサービスかあ」
ルイが拍子抜けしたように言ったのがおかしくて、私はくすくすと笑った。
「気楽で良いね。のんびり引けるよ」
私は箱の中に手を差し入れて、一枚引き出した。
ルイも同じようにおみくじを引く。
「もういいですか? レイラさん」
「あ、うん。ごめんね、待たせちゃった?」
「いえ、大丈夫です」
ルイが足を踏み出したので私も従った。
「でも、なんだか真剣にお祈りしてましたね。どんなお願いしたのか、訊いてもいいですか?」
「え……っ、それはちょっと。ていうか、願い事って、人に教えると叶わないっていうでしょ」
「えっ、そうなの? 俺、いつも家族とか友達に教えちゃってた!」
「今まで願い事、叶ったことある?」
「うーん、叶ってた気がするけどな。でも、じゃあ、今年は誰にも言わないことにします。絶対に叶ってほしい願い事なんで」
ルイが意味深な言い方をしたけれど、私は「そのほうがいいよ」と素知らぬふりをして流した。
「あ、せっかくだから、おみくじも引こうか」
「いいですね」
社務所に行ってみると、神主さんも巫女さんも不在で、おみくじの箱と代金をいれる容器だけが置いてあった。
「おみくじ、セルフサービスかあ」
ルイが拍子抜けしたように言ったのがおかしくて、私はくすくすと笑った。
「気楽で良いね。のんびり引けるよ」
私は箱の中に手を差し入れて、一枚引き出した。
ルイも同じようにおみくじを引く。