やさしい眩暈
*
「あー、あったまる………」
コーヒーの入ったマグカップを両手で包み、ルイがしみじみと呟いた。
私も同じようにカップをもって、ミルクを多めにいれたカフェオレを口に含む。
寒い日には、ブラックコーヒーよりもミルク入りのほうがずっと、優しい味がする。
こたつも何もない部屋なので、私はベッドから毛布をおろしてきて、ルイの隣に腰をおろした。
「ごめんね、この部屋さむいでしょ。毛布くらいしかないけど」
自分とルイを包み込むように毛布を膝にかける。
その拍子に肩が触れたけれど、慌てて離れるのもわざとらしいかと思って、そのまま動けなくなった。
「…………」
「…………」
ルイはいつもよく喋るのに、今日に限って口数が少ない。
沈黙が少し息苦しい。
テレビくらい置いておけばよかった、と思った。
「………ねえ、レイラさん」
耐えきれなくなってきたころ、ルイがぽつりと呟いた。
ちらりと横に目を向けると、思いのほか近くにルイの顔があって、どきりとする。
そういえば、こんなに近くに座ったのは初めてだ。