やさしい眩暈







「あー、あったまる………」



コーヒーの入ったマグカップを両手で包み、ルイがしみじみと呟いた。


私も同じようにカップをもって、ミルクを多めにいれたカフェオレを口に含む。



寒い日には、ブラックコーヒーよりもミルク入りのほうがずっと、優しい味がする。



こたつも何もない部屋なので、私はベッドから毛布をおろしてきて、ルイの隣に腰をおろした。



「ごめんね、この部屋さむいでしょ。毛布くらいしかないけど」



自分とルイを包み込むように毛布を膝にかける。


その拍子に肩が触れたけれど、慌てて離れるのもわざとらしいかと思って、そのまま動けなくなった。



「…………」


「…………」



ルイはいつもよく喋るのに、今日に限って口数が少ない。


沈黙が少し息苦しい。


テレビくらい置いておけばよかった、と思った。



「………ねえ、レイラさん」



耐えきれなくなってきたころ、ルイがぽつりと呟いた。


ちらりと横に目を向けると、思いのほか近くにルイの顔があって、どきりとする。


そういえば、こんなに近くに座ったのは初めてだ。




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