やさしい眩暈
「………なに?」



平然とした顔を装い、私は訊き返した。


ルイが前を向いたままふうっと息を吐き、それから深く吸い込む。



その顔が、すっとこちらに向けられた。


いつものまっすぐな視線が私を射る。



「―――レイラさん」



もう一度囁いて、ルイがふいに身じろぎをした。


思わず身を硬くしていると、ルイの手がこちらに伸びてくる。



その手が一瞬、とまった。


切なげに細められた瞳がじっと私を見つめている。


唇がゆっくりと開いて、隙間から声が洩れてきた。



「………触れても、いいですか」



囁くように訊ねる声は、震えていた。


私はなにも考えられずに小さく頷いた。



ルイの手が私の指をつかみ、それから絡めとられる。



「レイラさん………俺を好きになってくれませんか」



ルイの指が触れている部分が、どんどん熱くなってくる。


それを意識すると、頬まで熱くなる気がした。



どう答えればいいか分からず、口を少し開いたまま止まっていると、ルイが苦し気な息を洩らした。



「俺のこと、これっぽっちも好きじゃありませんか?」



私は顔をあげ、首を横に振った。




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